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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
お姉さまはやっぱり風邪です。
そちらの風邪はいかがですか、やっぱり、こんなに目と鼻が痛くてくしゃくしゃになって不便でしょうか、お姉さまが少し変な声を出して「熱が出たア」と云うから、おデコにさわってみると、そのオデコは私の手よりも決して熱くありません、「冷イー」と云うと、嬉しそうに笑います。つまり、熱もないし、御機嫌もよいし、味噌汁のおじやもよく食べますが、起きて仕事が出来なくて、弱っているわけです。
予定では今日全快の筈だったけれど。寿江子がいるので、便利です。(邪魔ニサレルコトダッテ度々デスヨ! スエコ)一寸待ちなさいと、云って何かゴチョゴチョ書き込んだようです。
今日は三通目の代筆で、この間うちから寿江子が手紙を上げる上げると云いながら書かないから、一つ掴えて、代筆させて、姉さん孝行ぶりと、お見舞とをかねさせます。
あんまり孝行した事がないので、どっちの字が上になるのか、まごついたようです。(姉サント云ウモノハ怪シカラント思イマス。スエコ)
寿江子は、夜ねしなに入浴すると、眠りにくいので、もうソロソロお風呂に入ります。出たらばどうせクタクタで、代筆どころの騒ぎでないから、今のうちに一筆。