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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
なら、労働者の方がわるいんだ、と云うと、きいている人は、それも社会主義的な考えかただと思ってしまうらしいんです。木村さんは、こんなにわかりやすいことをききに、僕のところまで来るんだからって、あきれたように、お得意だったことよ」
蜂谷良作は、大きな声を出し顔を仰向けて笑った。伸子がモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)からロンドンへ来ている者だということにこだわって、木村市郎は執拗なぐらい独裁ということへ非難をもって行った。イタリーのムッソリーニの独裁と、プロレタリアートの階級としての独裁をごっちゃにしていて、伸子がその点をさすと、木村は、どっちだって、独裁――ディクテーターシップというからには同じことさ、と云ってアーム・チェアの上に胸をはった。そして、そのころ話題になっていたオールダス・ハックスリーの「ポイント・カウンター・ポイント」という長篇小説を伸子によめとすすめた。日本では、ソヴェトのまねをしてプロレタリア小説だの何だのとさわいでいるが、よめたものじゃない。ハックスリーは、さすがに堂々とかいている。要するに、われわれの階級と労働者階級とは、ポイント・カウンター・ポイントだ、というのが真理だね。