轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
しかし、いつまでも気持わるがっている伸子にこだわらず、蜂谷は、
「その辺で休みましょう」
人通りの絶え間ないサン・ミッシェルへ出た。
「きょう、僕は一つ提案があるんだ」
蜂谷がいまいるクラマールの部屋をかわるから、そのあとへ伸子が来ないか、というのだった。
「あなたはどこへいらっしゃるの?」
「僕は、その家のじき近所で、勉強にはもってこいの室を見つけたんです。画家の未亡人の二階で。そっちの方がずっと勉強するには落ちつける。もっとも部屋そのものは粗末だが、かえって僕にはいいんだ」
伸子は、きくような眼で蜂谷をみた。いつから蜂谷は引越すことを考えたのだろう。この間うち伸子の部屋さがしがはじまったとき、あちこち歩いたり、あれこれ喋ったのに、そんな話はひとこともされなかった。
「――ちっともお話に出なかったのね。急にそういうことになったの?」
「そうじゃない、僕は、前からさがしていたんだ」
クラマールの家の室代は、パリの物価があがるにつれて、蜂谷が住むようになってからも二度あがった。今年の冬は、燃料が急にたかくなったからという理由で、十一月からあとは新しい価を請求されているのだそうだった。