轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
同じ箱のあっちの端にも同じあかりがついているが、その光りでものを読むことは不可能だった。
ひろい闇の中に小さく電燈をきらめかせているいくつかのステーションをすぎたとき、伸子が、
「すこし寒くなって来たようじゃない?」
と云った。蜂谷が自分の合外套をぬいで、伸子に着せかけようとした。
「それじゃあなたが風邪をひくわ」
「僕はいいんだ」
「ほんとに?」
蜂谷はうなずいた。
「じゃ、かして」
その外套を羽織って伸子は窓とうしろの羽目の隅に肩をよせかけるようにして目をつぶった。
「眠るとほんとに風邪をひくから駄目だ」
「眠りゃしないわ」
背中は少しぞくぞくするようなのに、頭のしんはあつくて、それは、一日じゅうオープンの自動車にのって風をつっきって走ったからだ、と伸子は思った。
「気分がわるい?」
「いいえ」
シャロンのステーションは、この地域でもいく分大きい町らしく、明るい駅頭に乗り降りする人影が黒く動いたが、伸子たちの車室へは入って来る乗客も降りてゆくものもなかった。もしかすると、伸子たちのところからは見えない仕切板のあっち側には、誰ものっていないのかもしれなかった。
「何だか僕もすこし寒くなって来たみたいだ。