轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

もっと近くに坐ろうよ」

「この汽車ったら、あんまり、がらあきなんだもの……」

伸子は、窓ぎわの隅からはなれて、ベンチのまんなかにいる蜂谷のわきにかけ直した。

夜に響く単調な車輪の音にひきこまれたような沈黙を破って蜂谷がぽつんときいた。

「佐々さん、ほんとに十一月いっぱいでパリをひきあげるつもりなのかな」

「そうよ」

「――ぜひもう一遍、どこか近いところへ行きましょう。ね、こんなに長い汽車にのらないでいいところへ」

「どんなところ?」

「そりゃ、いろいろある」

「だって、わたしたち、どっちもろくにお金をもってないくせに」

伸子は、笑いだした。

「わたし、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ帰る旅費だけは、大事にとっておくんだから」

眉をしかめるような斜かいの見かたで、蜂谷は、彼のかたわらに笑っている伸子を見た。

「僕は、きょうだって、外の連中と来たのは失敗だったと思っていたんだ」

「どうして?」

ぼんやりしていた伸子の注意がめざまされた。伸子は、はっきりした声の調子にもどった。

「丁度六人で、きっちり、都合がよかったと思うわ」

「そんなことじゃない……佐々さんは、きょうは、いつものきみじゃあなかった」