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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
「やっぱりあきらめきれないわ。ドレスデンなんて、またあらためて来られるところでもないし……」
しばらく黙っていて、素子は決断したように、
「まっすぐベルリンへ行こう」
はっきりと云った。
「ぶこちゃんの趣味であっちこっちへひっかかりはじめたら、それこそきりがありゃしない。とにかくベルリンまで行っちゃおう」
こうして伸子たちは翌日のひる近くベルリンに着いた。そして、かねて中館公一郎に教えてもらってあったモルツ・ストラッセのルドウィクというパンシオン(下宿)に部屋をとった。
七
ベルリンには、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で伸子たちと一緒にソヴキノのスタディオを見学したりした中館公一郎がまだ滞在していた。建築から新鋭な舞台芸術の研究にかわったことで多くの人に名を知られている川瀬勇もいた。落付いていられるホテルもないプラーグで素子が、とにかくベルリンまで行っちゃおう、と主張した気持の底には、互に言葉の通じるこれらの人々の顔が浮んでいたこともあらそえなかった。伸子は、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で会った新聞の特派員である比田礼二に会えたらとたのしみにして来たのだった。