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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

部下は、うなずいて、部屋の外へ出ていきましたが、まもなく、ふたりの少年をつれて、はいってきました。

それを見ると、小林少年は、おもわず、「あっ。」と声をたてました。じつにふしぎなことが、おこったからです。

はいってきた、ふたりの少年も、びっくりして立ちすくんでいます。みんな、じぶんの目をうたがっているのです。こんな、ふしぎなことが、あるものでしょうか。夢を見ているのではないでしょうか。

はいってきた、ふたりの少年というのは、井上君とノロちゃんだったのです。そして、こちらに小林君とならんでいるのも、井上君とノロちゃんです。井上君が、ふたりになったのです。ノロちゃんも、ふたりになったのです。

いま、はいってきたほうの井上君が、おずおずと、もうひとりのじぶんに近づいてきました。そのあとから、ノロちゃんも、井上君のうしろにかくれるようにして、こちらへ、やってきます。

井上君と井上君が、一メートルの近さで、おたがいに向きあって立ちました。じっと、顔を見あわせています。

井上君は、いま、じぶんは、大きな鏡の前に、立っているのではないかと思いました。じぶんの前に立っているやつは、顔も服も、なにからなにまで、じぶんとそっくりなのです。