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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

そうして、三百メートルほど進んだとき、いよいよ、においがなくなってしまったのか、シャーロックは、ぴったり、とまったまま動かなくなってしまいました。

「こんなことなら、もっと大きなコールタールのかんを、つけておくんだったね。」

明智探偵は、ざんねんそうにつぶやきましたが、まだ、あきらめられないらしく、

「ともかく、一度、おりてみよう。そして、シャーロックの綱を持って、このへんを歩いてみよう。」

と、小林君をうながしました。

そこで、ふたりは車をおり、にせ宝冠のふろしきづつみを明智がこわきにかかえ、イヌの綱は小林少年が持って、シャーロックの進むままに、そのへんを歩きはじめました。

そこは国道からそれた、ひじょうにさびしい場所で、かたがわは畑、かたがわは大きな森になっていました。それも平地の森ではなくて、小山のような丘で、ずいぶん深い森です。

シャーロックは、その森にそって、のろのろと歩いていましたが、ある場所にくると、なにか、ほかのにおいをかぎつけたらしく、いきなり森の中へ、ガサガサと、はいっていくのです。

大きな立木の下に小さな木がしげり、草がいっぱいはえていて、道もないところですが、シャーロックがどんどんはいっていくので、小林少年も綱にひかれて、そこへはいっていきました。