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はいいろのきょじん
灰色の巨人/魔法博士
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁
なんともいえない、恐ろしい音がしたからです。
ふつうのラッパの百倍もあるような大きなラッパが、ガーッと、なったような音でした。しかも、ラッパのような、ほがらかな音ではありません。いんきな、しわがれた音で、しかも、つんぼになるような、とほうもなく大きな音なのです。
三人の少年は、おたがいによりそって、いつでも逃げだせるように、身がまえしていました。しかし目は、向こうの暗やみに、釘づけになっているのです。
暗やみの中の、もやもやしたものが、だんだん、はっきりしてきました。そのものが、こちらへ近づいてきたからです。それは人間の何十倍もあるような、大きなものでした。そいつは、生きているのです。巨大なからだを、ゆすぶりながら、こちらへ歩いてくるのです。
耳が見えました。犬の耳の百倍もある、おそろしく大きな耳です。その耳が、うちわのように、ハタハタと動いています。
からだにくらべて、ひどく小さな目がふたつ、やみの中に光っています。白い大きな二本の牙が見えます。そして、その牙と牙とのあいだに、なんだか、太いネズミ色の棒のようなものが、ダランとさがっています。それが、グーッと、こちらの方へ、のびてくるように見えるのです。