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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

「へんだね。さっきの道化師は、どうしたんだろう?」

井上君が、ささやきますと、ノロちゃんが、しさいらしく答えました。

「そうじゃないよ。道化師があんなへんなやつにばけたんだよ。自動車のなかには、ひとりしか人間がいないんだもの。あいつ、きっと変装の名人だよ。ねえ、なんだか、あやしいやつだね。もっと、あとをつけてみようか。」

「うん、そうしよう。」

ふたりは、少年探偵団員ですから、あやしいやつを見たら、あとをつけないではいられないのです。

映画がすむと、西洋悪魔はまた運転席にはいって、車が動きだしました。こんども、ノロノロ走っています。そして、ときどき、悪魔の顔が窓からうしろをのぞいて、二少年がついてくるかどうかを、たしかめているらしいのです。

ああ、なんだか心配です。このふしぎな男は、わざと車をノロノロ走らせて、ふたりの少年を、どこかへ、ひっぱっていくつもりではないのでしょうか。

まだ夜とはいえませんが、あたりは、だんだん暗くなってきました。遠くのほうは、かすんで見えないくらいです。

自動車は十分ほど走って、また、とまりました。そして、とまったまま、しばらく、てまどっているのです。