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はいいろのきょじん
灰色の巨人/魔法博士
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁
あいつは、こんども、なにかに変装して出てくるのかもしれません。
ふたりの少年は、すこし、きみが悪くなってきましたので、あまり近よらないで、十メートルもはなれたうしろのほうから、じっと、ようすを見ていました。
そこは、さびしいやしき町で、見わたすかぎり、へいばかりがつづいています。こんなところで、子どもを集めようとしても、ひとりも、出てこないだろうと思われるほどです。
しばらくすると、自動車の運転席から、なんだか黄色い大きなものが、ヌーッと姿をあらわしました。あっと驚くような、まったく、えたいのしれないものでした。
全身、黄色のなかに、太いまっ黒なしまがあります。しかも、そいつは立って歩かないで、四つんばいになって、ノソノソと、こちらへやってくるのです。
「ワーッ、トラだあ、トラがきたあ……。」
ノロちゃんが、とんきょうな声をたてて逃げだしました。
井上君も、いっしょに逃げながら振りかえってみますと、そいつは、一ぴきの大きなトラにちがいないのですが、ふしぎなことに、そのトラが、ヒョイと後足で立ちあがったではありませんか。
おやっ、とおもって見ていますと、そのトラは、二本の前足で、首にかけていた拍子木をはずして、チョンチョンと、たたきました。