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まぶたのはは

長谷川伸傑作選 瞼の母

長谷川 伸

Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens

Aozora Bunko

文太郎 付いて来たくば勝手に来い。泊り泊りのお慰みに、唄を聞いてやってもいい。(おなかに)いつまでめそめそしていやがるんでえ。

徳之助 待っておくれ文太さん。おなかが火付けしたなどとは、お前の見込み違いなのだ。

文太郎 文句があるなら江戸へ来い。お白洲の砂利の上で、云えるものなら申しあげろい。何をいやがるんでえ、火付をしてずらかった芸者を連れて高飛びすれば、手前も同罪を免かれねえ処を、元は少し世話になった潰れた大家の道楽息子だから、人情をかけて見逃がそうと、骨を折っているのがわからねえで、好き放題をほざきやがると、一緒に江戸へ差立者にしてやるぞ。

徳之助 あ、そうしておくれ、そうされれば本望だ。

おなか あなた。あなたは温和しくして、こいつに逆らわずにいてください。こいつはあたしに厭なことをいって、断わられたのを根に持って、恰度、火事になったのを幸い、あたしを火付けに落して、敵討をする気と知れていながら、いくら手向っても上役の旦那方にうけのいいのがこっちの因果。弱い者いじめをされて、こいつに厭々押し潰されるより仕様がありません。

文太郎 俺の讒訴はそれで仕舞いか。