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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
第四場 再び家の外
(三人を相手に家中を駆けめぐって闘う)
太郎吉 (おきぬに縋り付き)ちゃんやあ、ちゃんやあ。
おきぬ お前さん、踏張っておくれ。――そんな畜生ども何だい。叩っ切っておやり。
太郎吉 ちゃんやあ、ちゃんやあ。
三蔵 さあ来い、けだもの共。(太郎吉の声に刺戟され、意気烈しく、三人を切り捲くる。三人は雨戸の外へ退く)
おきぬ (道具類を転がして搬び、手早く入口を封鎖する)お前さん、小気味よくあいつ等を追っ払ったねえ。
三蔵 うむ。(大息をつきつつ)太郎吉の声を聞いたので、何だか体中が、むずむずと、力が一杯張り切った。おきぬ、水をくれ。
おきぬ あいよ。(丼に薬罐の湯を入れて出す)ぬるいけど、加減しておくれ。噎せるからね。
三蔵 ヘン。やくざ渡世の人間だよ。息つぎの呑み方ぐらい知ってらあ。
おきぬ ちがいない。ほ、ほほ。
太郎吉 (おきぬの後について廻わり)ちゃん、お前強いなあ。
三蔵 何をいってやがる。は、はは。おきぬ、この間にズラかろうぜ。(抜刀を携げて立つ)
おきぬ あい。(太郎吉に小さき包を背負わす)
第四場 再び家の外
大野木の百、磯目の鎌、苫屋の半の三人は、森の前へ来て三蔵に負わされたかすり疵に血止めの布を巻いている。