Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
〔二幕目〕
中仙道熊谷宿裏通り
時次郎 そうか。じゃ教えておくれ。(外をのぞき)いよいよ近くなりやがった。おかみさん。ほらあの夥しい足音だ。あいつ等みんなにかかられちゃ、十のうち十、命はねえ。助かったら拾い物だ。坊や、泣くなよ、小父さんがついてらあ。
太郎吉 うン。泣きやしねえよ。
外の声 わあッ。わあッ。(多人数の足音が次第に近くなる)
時次郎 (燈火を消し、裏口の戸を開く、月が照っている。外をうかがう)
おきぬ (太郎吉と共に三蔵に合掌し、裏口へ出て行く)
時次郎 (三蔵に片手拝みをして出て行き。戸を閉める)
外の声 わあッ。(直ぐ近くなる、入口より数人、抜刀して躍り込む。喊声はまだ続いている)
〔二幕目〕
中仙道熊谷宿裏通り
まだ宵の料理はたご屋の二階で騒いでいる声、唄、鳴り物など混って聞える。諸所にある立木が、枯れたように見える厳冬だ。寒そうにして行き交う男女がある。酔って飯盛と手をつなぎ忍び歩く泊り客もある。太郎吉が一人、ぽつねんと佇んでいる。絃入りの小諸追分が近くで聞える。酔ッ払いが通りかかる。
酔漢 おう小僧。何してる。
太郎吉 (顔をみて答えず、脇を向く)
酔漢 おや、この餓鬼は唖かい。