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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
〔大詰〕
第一場 柳橋水熊横丁
(口の中で)羨ましいなあ。
〔大詰〕
第一場 柳橋水熊横丁
嘉永二年の秋やや深き頃――前の幕の翌年。柳橋の料理茶屋水熊の横手。
黒板塀(板割、丈が並より高い)右手寄りに水熊の台所の出入口、左手寄りに白壁の土蔵、柳の木がどこかに植わっていて前の場との相違を明快にする。
おとら(五十余歳)夜鷹が出来なくなって困窮している水熊の女主人の元の知人。破れた番傘を担ぎ、うしろ向きに水熊の台所口に立ち、裾の方だけ見える。
お詣りに行く芸者三吉、およつ、相合傘で通る。
三吉 (口三味線で何かおよつに移している)
およつ (首を振って節を繰り返している)
三吉 (気がついて傘の外に手を出し)あら、やんでるわ。(傘をつぼめる)
およつ ああら、お天道様が顔を見せてるじゃないの。(続けて唄を繰り返す)
三吉 (傘を指で弾き拍子をとり、口三味線をつづけ、およつと共に去る)
魚屋熊、同じく北、めいめい天秤で荷を担ぎ、三吉、およつと摺れ違う。
魚北 (後から振り返って、拳固で鼻を鳴らす)ちえッ、業平様のお通りに気が付きゃがらねえ。
魚熊 (先に立っている。魚北を振り返り)そんな面の業平は当節はやらねえ。