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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
第二場 三蔵の家の前
三蔵 うむ。(入口の土間へそっと下りる)
第二場 三蔵の家の前
一軒家の三蔵の家から少し離れて路に沿うて鎮守の森がある。その前に博徒磯目の鎌吉、苫屋の半太郎、大野木の百助が襷鉢巻で長脇差を抜いて立っている。すこし離れて旅人の博徒沓掛時次郎、いでたちは同じ様だが懐手をしてぶらぶらしている。三人は一方に固まり、ひそひそと相談を始める。時次郎はそれを尻目にかけ、せせら笑いをしている。
大野木 じゃあ俺からいおう。(時次郎に向う。そのあとに磯目と苫屋がついている)沓掛の。
時次郎 なんでござんす。
大野木 外で張番をするのが、厭なら、遠慮なく引揚げて行きねえ。
磯目 贅沢をいうのも大抵にしろい。
苫屋 こっちは生え抜きの身内だい。
大野木 待ちねえ待ちねえ。俺に任せときあいいじゃねえか。(二人を宥め)沓掛の。
時次郎 おい。
大野木 俺達がもともといい出して、今夜のことは持ちあがったのだ。お前はただ横合から、一緒に行きていといい出したのを親分がウンといっただけのものだ。つまりお前は見に来たのだ。六ツ田の三蔵の首を挙げるのは俺達三人のすることで、お前の役じゃねえや。
時次郎 だから、どうなのでござんす。