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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
第二場 お蔦の家
籠彦 へえい。(飛んで行く)
儀十 さあ行こう。きょうは屹と面白えぜ。
上の渡しを指して儀十等は去る。話し声が少しの間、聞えてくる。イカサマ師といわれた船印彫師辰三郎(三十五、六歳)堅気に見える粋な服装かたちで、眼を配りつつ来る。
辰三郎 (髪の中より采を出し捨てる)
清大工 (その以前に船の内にはいってマキハダを打っている)
老船頭 (若い男と共に、今またでかけた手をやめて、辰三郎に注目する。「この人が、儀十等に探されているのではないか」と思い)もし、もし。
辰三郎 えッ。(びッくりして、川下へ逃げ去る)
老船頭 あ――そッと教えてやろうと思ったのに。
若い男 だけれど、イカサマ賭博をしたというから、どうもこれ仕方がねえさ。
清大工 (船の上へ顔を出す)又何かあったのか。
老船頭 なあに、人が一人、駈けて行っただけだに。
清大工 あれだね。どんどん駈けて行かあ。
老船頭は※(「火+膠のつくり」、第4水準2-79-93)でを続ける。
船頭唄が風に送られて遠く近く、聞えてくる。
第二場 お蔦の家
取手の宿場から少し離れ、利根川をやや遠く望む高地にある一軒家の内。
(その家は古く建てられたもので、軒も傾き、壁も破れている。