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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
それから、高山の御用聞きの連中に紛れたんだが、逢ったら俺のことを話してくれ。忘れると後で祟るぞ。
猟師 はい、はい、わかりました。(行きかける)
文太郎 こいつは一本道だったな。
猟師 (振りむいて)はい、美濃の加納へ行くならこの道だ、下原、金山、太田と出て行くさ。
文太郎 木曾へ抜けるにゃ何処から入るんだ。
猟師 この先の佐和からも行けるよ。
文太郎 そこまでは此の道一と筋だな。
猟師 そうだよ。
文太郎 よし、もう行ってもいい。どれ、もう一とのしして網を張るか。(去る)
猟師 (文太郎を見送りて去る)
政吉、久々野の我が家で着換えたので、江戸を出た時の旅支度になっている、脇差を腰にしている。徳之助とおなかと、扶け合いつつ政吉の後からついて来たる。
政吉は二人の仲を妬ましく思い、ともすると殺意が出たり中止したり、又、殺意を生じ自省する。
政吉 ここまではいい按排に逃げ終せたが、まだ安心は出来やしねえ。(徳之助を斬りにかかり、反省する)高山からここまではかれこれ十四里もあるだろうから、多分大丈夫、とは思うが油断はならねえ。もう少し踏ん張って見よう。
徳之助 政吉さん、済みませんが、これが大変疲れたらしいから、少し休んで行ってはいけますまいか。