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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
弥八 (伊兵衛を捉える)何をしやがる。(振り払う伊兵衛を又捉えて引戻す)
おみな (夫の大事と引返し、おろおろと伊兵衛を気遣う)
博労木崎の久太郎(四十二、三歳)仲裁しょうとて弥八に追いつく。
久太郎 哥兄や、まあさ、勘弁してやってくれ。当人だって詫びをいってるんだ。なあ、もういい加減に勘弁してやってくれ。俺からも頼むからよ。な、もういいだろう。根も葉もあることではねえ、足を踏んだ踏まねえの喧嘩じゃねえか。
弥八 厭だい。
久太郎 何ッ。(むッとしたが、気を取り直し)そういったものじゃねえ。
弥八 黙ってろい。借せッ。(久太郎が持っていた馬の沓を奪って、伊兵衛を打つ)
おみな あれッ。(伊兵衛を庇わんとして、弥八に打たれる)
伊兵衛 (憤然として弥八の腕を押え)温和しくしていればいい気になり、畜生に穿かせる物でよくもぶったな。
おみな (おろおろと伊兵衛に取り縋り、何かいおうとすれど声が出ぬ)
弥八 馬の沓でヒッ敲いてやった、それがどうした。
久太郎 どうもしねえ、こうしてやらあ。(馬の沓を引ッ手繰り弥八を打つ)
弥八 あ痛え。やい止せ、痛えやい。(久太郎から馬の沓を奪わんとする)