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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
泣くない、――泣くなというのが土台無理だが、泣いてくれるなよおきぬ。さ行こう。こいつはお前持ちねえ。坊主は俺が背負うとしよう。
おきぬ (包をうけとり)少し行ったらあたしがおぶうよ。
三蔵 待てよ。そうだ。坊主はお前、骨が折れるだろうがおぶってくれ。一人ぼっちの俺を生かしておけねえ気の狭い奴等だ。もしも出会ったら最後、息の根を止めるだけじゃなくって、お前や坊主まで、後腐れを怖がってバラすにきまっている。
おきぬ 可愛いこの子を殺されてたまるものか。そんなことをしやがったら咽喉笛へくらいついてやる。
三蔵 そうとも。その時あ、俺あ死物狂いであいつ等を叩き斬るから、その間にお前は逃げてくれ。
おきぬ ああいいよ。
三蔵 そのために坊主はお前におぶって貰うのだ。俺の持ってるだけの金はみんなお前に渡しておくぜ。(財布を出す)
おきぬ それはお前さん持っていておくれ。なあにどんなことがあっても、親子三人一緒に生き死にをしようよ。
三蔵 (聞き耳を立て)いけねえ。(戸外に罵る人声がする)おきぬ、覚悟をしろよ。(包を捨て脇差に手をかける)
おきぬ (寝ている太郎吉を庇い)お前さん、どうせ遣るんだ、しっかりおやりよ。