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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
旅人沓掛時次郎は三蔵の家に近く佇み、懐中手をしたまま冷笑している。
大野木 あの野郎、死物狂いになりやがって、馬鹿強いにゃ驚いたなあ。
苫屋 俺達だから、かすり疵ぐらいですんだ。(時次郎の方を腮でしゃくり)変な奴が一緒だったら、今頃は、堅くのびた奴が一人出来たろう。
磯目 (苫屋に)お前、血が滲み出てら。
苫屋 構うものか。
時次郎 そういわねえで、布を巻き直したがようござんしょう。
苫屋 何だと。
時次郎 張番はあっしがしてるんでござんす。滅多に三蔵とやらも切って出ては来ねえでござんしょう。出てくれば一ト討でござんすからね。
磯目 (脇を向き)ちえッ。厭な野郎だなあ。
大野木 そうか。そんなに強がるなら、おう沓掛の、一遍なかへ入ってみるか。
時次郎 哥児達に苦情がなければ、あっしはどこへでも飛び込ンますでござんす。
苫屋 (大野木に)何をいうのでい。
大野木 まあいいってことさ。(時次郎を嗤って)なあ、三蔵も強いが沓掛の時次郎どんもきつい人だ、一遍咬み合して見ようぜ。なあ沓掛の、おぬしの望む処だろうからのう。
磯目 こいつあいい。三蔵の野郎とんだいい血祭りを授かりやがらあ。