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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
おきぬさん確りしなよ。
おろく (笑って)騒いじゃいけない。逆上させるといけないよ。(安兵衛、時次郎に囁き介抱にかかる)
時次郎 あ、そうか。(虫気づいたと知る)
安兵衛 (廊下の奥に足音を聞きつけ)だれだ。
博徒 (足拵え厳重に、廊下を爪先歩きして)火急の場合、失礼お許しを願います。八丁徳が申します。お話の助ッ人の方に、至急おいで願いたい――かようでござんす。
安兵衛 直ぐ参ります。
博徒 ご免なんして。(去る)
時次郎 出掛けましょう。(引返しておろくに)頼みますぜ。
おろく 男が居たって邪魔だ。行った行った。(おきぬを蒲団に坐らせ、枕を力にさせる)太郎坊、隣へ行って、おいらがいったってな、あすこの小母さん引ッ張ってきな。
太郎吉 あいよ。(駆け去る)
安兵衛 さあ行こう。こうなりゃ何より金が入り用だ。
時次郎 違えねえ。おきぬさん。安心して待ってなよ。あすの昼は、赤ン坊の子守は俺がしてやるぜ。(外に騒ぎが起る)おや。
安兵衛 日の暮れるのが待ち切れず、もう始めたな。おッ、方々の家で大戸を卸す音がする。
時次郎 (安兵衛の手を掴み)間に合わねえと大番狂わせだ。
安兵衛 表通りはもう行かれまい。