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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
聞くめえ云うなよ。俺が勝手に聞き出して、この埒は付けてやる。
金造 いけねえ、そ、その眼つきが俺にあ怖い。なあ政ちゃん、短気はよしてくれ。第一、有りもしねえ疑いをかけられておさんさんが可哀そうだ。
政吉 何をしようと俺の勝手だ。おさんは俺の物だ。だれだろうとかれだろうと俺のものをふん奪れば。くそっ、承知するもんか。
金造 だれも、どうもしてやしねえじゃねえか。
政吉 じゃあ何故、御用聞きのキザな野郎が、変に厭がらせの脅しをかけに来やがったんだ。
金造 ありゃお前、話が別ッ個だ。
政吉 五月蠅えっ。あっちへ行け。行かねえか。
金造 行くよ。だが。
政吉 俺あ一人ぽっちだ、親も兄弟もねえんだ。親類もねえんだ。こういう時あ悲しいなあ、泣いて話を聞いてくれる人が俺にゃ一人もねえんだ。
金造 そりゃそうだが。俺あ政ちゃんの弟同然なんだぜ。俺が一生懸命になってるのが、お前わかっちゃくんねえのか。
政吉 済まねえ金公。俺あ一人ぽっちと云ったっけ、悪かったな。安心してくれ、いくら俺でも、そう無闇な真似をするもんか。
金造 本当にそうか。え、政ちゃん、本当か。
政吉 本当だとも。