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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
作蔵 その人は内儀さんか。この前来た時のと違ってるから、内儀さんではないと思った。
文太郎 何をいやがる。
お松 いけ好かない野郎だねえ。(文太郎と共に去る)
老番頭 (外出しかけて見ていて)今のは文左の倅の文太の奴だろうな。
作蔵 ええ文太の奴ですよ。
老番頭 厭な奴が帰ってきたものだ。あいつは子供の時から根性がよくなくてな、喧嘩口論でもしたが最後、いつまでも根に持っている奴だ、小狡ッ猾くって裏表があるから、わしは昔からあの男が大嫌いだった。
作蔵 直き江戸へ行ってしまうでしょう、早く行ってくれた方がいい。
老番頭 あんな奴が江戸で十手をお預り申してるというが、飛んだことだ、高山だったら屹と牢へ入れられてる奴だ。(去る)
作蔵 (酒樽を再び担ぎかける)
零落して的もなく流浪する徳之助(二十四、五歳)とおなか(二十一、二歳)が来たる。徳之助は四ツ竹、おなかは胡弓をすりて、門付をして糊口している。
作蔵、酒樽を担ぎ、二人を顧みて去る。
おなか (疲れと飢のために目眩を起す)
徳之助 どうしたい、また気分が悪くなったと見えるね。ここで少し休むがいいよ。
おなか え。