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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
喜八 そんな人の事じゃねえ。
七五郎 半次が帰って来てるか、それを聞いているんだい。
おぬい 半次兄さんなら居りません。
七五郎 白ばッくれるな。
喜八 七。そんなにいうな。相手は綺麗な娘ッ子だ。おとなしく云えよう。
七五郎 だって、お前、図々しく、居ねえなんて吐かすからよ。
喜八 まあいいやな。娘さん。ここに手紙を書いてきた、これを半次に渡してくれ。
おぬい でも、全く参って居りませんもの。
七五郎 まだあんな事をいってやがる。
喜八 今は居ねえか知れねえが、今にもここへくる筈だ。来たら必ず渡してくれ。(手紙をおぬいが受取らぬので垣の中へ抛り込み)七。さあ行こう。
七五郎 (不服らしく)そんな事より踏み込んだ方が、埒が早くあくじゃねえか。
喜八 べら棒め。俺達も名うての人間。やるなら尋常にやる方が立派でいい。
七五郎 そりゃ立派にやりていが、手間を食うから俺あ嫌いさ。
喜八 来いよ。急ぐ事があるかい、袋の中の鼠じゃねえか。(七五郎と共に去る)
おぬい (二人のうしろ姿を見送り、怖々手紙を拾う)
若き博徒、金町の半次郎、人を害して逃亡し、実家へゆうべから来ている。