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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
お蔦 それだとあたし直ぐわかっていいねえ。じゃあ、お行き、左様なら。
茂兵衛 はい。(嬉し喜んで頭をさげ)左様なら姐さん。(行きかける)
お蔦 (見送り)出世を待ってるよ。
茂兵衛 はいッ。(振返り振返り去る)
お蔦 (頬杖つき鼻唄をやっていたが、気がつき)あれ、まだこっち向いてお辞儀してる。そんなに嬉しかったのかねえ。(扱帯を振って)駒形あ――。
船戸の弥八が、仲間の無法者、赤金の升公、いわしの北公、盆持ちの良公を引きつれ、祭礼の日の如く騒いで駈け来る、四人とも鍬の柄その他を持っている。
升公 どこだ。どこだ。どこだ。
北公 わあッ、わあッ、わわッ。
良公 わッしょ、わッしょ。
弥八 (長脇差を帯し、先頭に立っている)
お蔦 (冷然と見ている)
弥八 やあ、もう行っちゃったな。渡し場だ渡し場だ。(駈け出しかける)
お蔦 ちょいとちょいと、弥あさん、又暴れるのかい、親分に叱られるよ。
弥八 お蔦の阿魔か。この嘘つきめ、親分は家にいたぞ。
お蔦 そうだろう。さっき帰るといって出て行ったもの。
弥八 嘘をつけこの阿魔。渡し場へ行って、ふんどし担ぎを叩ッ挫け。