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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
いやあ、歩かなくちゃいけないんだ、歩こう歩こう。小金から松戸へ二里だっていった。松戸から葛西、千住まで四里。そうすると、あす中に親方の処まで行けるぞ。(食べ始める)
子守子が――前のとは違う――負うた子を風車であやしながら来る。
子守子 (子守唄をうたって、茂兵衛の傍を通る)
茂兵衛 (水が欲しくなり、川端に行き、水を掬んで飲む)
弥八が升、北、良を引連れ、そッと忍び寄ってくる。
子守子 (びッくりして、一方に避け、怖々見ている)
弥八 (升公等を制し、先頭になって、そッと茂兵衛の背後に寄る)えッ。(打ち据えんとする)
茂兵衛 (偶然、立つ)
北公 (棒を棄て)野郎ッ。(諸手で、押そうとかかる)
茂兵衛 (引ッ外し、北公を背後から送り出す)
北公 (川の中へ翻筋斗打って落つ)
弥八 さっきから手前を探していたんだ、どこを間誤間誤してやがった。
茂兵衛 銭を貰ったから、飯屋さんに寄っていたんだ。
升公 道理で、船頭に聞いても見かけなかったという筈だ。
良公 引揚げちゃあなくって丁度よかったな、弥あちゃん。
弥八 手前をここで叩ッ挫くからそう思え。
茂兵衛 それよりも川へ落ちた人、いいかなあ。