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Japanische Klassiker mit Furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme

Aozora Bunko

ああ、この手よ腐れ! 全く理由の無い憤怒である。僕がこんなに、死ぬほど恥ずかしい思いをしているのに、お前たちは上品ぶって、涼しそうな顔をして生きている、くたばれ! というような凶暴な発作にかられて、兄を殴った。兄は、子供のような、べそを掻いた。

「ごめん、ごめん、ごめん。」僕は兄さんの頸を抱いてわあわあ泣いていた。

書生の木島さんが僕を部屋にかつぎ込んで来て、僕の洋服を脱がせてくれながら、

「無理ですよ。ねえ、まだ十七なのに、無理ですよ。お父さんでも、いらっしゃったら、ねえ。」と小さい声で言うのである。何か誤解しているらしかった。

「喧嘩じゃないよ。ばか。喧嘩じゃないよ。」と僕は、泣きじゃくりながら何度も言った。木島なぞには、わからない。木島さんに蒲団を掛けてもらって、寝た。

僕はいま、寝床に腹這いになって、この「最後」の日記をつけている。もういいんだ。僕は、家を出るんだ。あしたから自活だ。この日記帳は、僕の形見として、この家に残して行こう。兄さんが読んだら泣くだろう。佳い兄さんだった。兄さんは、僕が八つの時から、お父さんの身代りになって僕を可愛がり、導いて下さった。