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Japanische Klassiker mit Furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme

Aozora Bunko

「狐にだまされているみたいだね。」と僕が言ったら、兄さんは、

「いや、本当にいま、だまされているのかも知れん。どうも変だ。」と真面目に言った。

昔からの馴染の、撞球場にはいってみた。暗い電球が一つともっているだけで、がらんとしている。奥の部屋に、見知らぬ婆さんがひとり寝ている。

「突くのけええ、」と、しゃがれた声で言うのである。「突くんだば、ここの押入れん中ん球、取ってくれせええ。」

僕は逃げようかと思った。けれども兄さんは、のこのこ奥の部屋へはいって行って、婆さんの寝床を踏み越え、押入れをあけ、球を取って来たのには驚いた。兄さんも、たしかにきょうは、どうかしている。一ゲエムだけやろうという事になったが、黒ずんだ羅紗の上をのろのろ歩く球が、なんだか生き物みたいで薄気味が悪くなって来て、勝負のつかぬうちに、よそうや、よそう、と言って、外に出てしまった。そばやへはいって、ぬるい天ぷらそばを食べながら、

「どうしたんだろう、今夜は。意志と行動が全く離れているみたいだ。僕の頭が、変になっているのかしら。」と僕が言ったら、兄さんは、

「なにせ、進が大学生になったというところあたりから、きょうは、あやしい日だという気がしていたよ。