Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
四月九日。日曜日。
曇天。午後一時に起きた。やはり自宅は、ぐっすり眠れる。蒲団のせいかも知れない。兄さんは、僕よりずっと早く起きたようだ。そうして姉さんと、何か言い争いをしたらしい。姉さんも、兄さんも、互いにツンとしている。何かあったのに違いない。そのうち、真相が、わかるだろう。姉さんは、僕にもろくに話掛けずに、夕方、下谷へ帰って行った。
夜、兄さんは僕を連れて、神田へ行き、大学の制帽と靴とを買ってくれた。僕はその帽子を、かぶって帰った。帰りのバスの中で、
「姉さんどうしたの?」と僕が聞いたら、兄さんは、ちえっと舌打ちして、
「馬鹿な事を言うんだ。馬鹿だよ、あれは。」と言って、それっきり黙ってしまった。それこそ、苦虫を噛みつぶしたような顔をしていた。ひどく怒っているようだ。
何かあったに違いない。けれども僕は、なんにも知らないから、口を出す事も出来ない。当分、傍観していよう。
あすは洋服屋が、洋服の寸法をとりにやって来る筈だ。兄さんは、レインコートも買ってくれると言っていた。だんだん、名実ともに大学生らしくなって行くのだ。流れる水よ。R大学にパスして、やっぱりよかったなあ、と今夜しみじみ思った。