Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
恥ずかしい事であるが、実は、聖書もききめがなかったのだ。けさから、パッパッと三度もひらいてみたのだが、少しも頭にはいらない。実に恥ずかしかった。もう、だめだ。僕は寝よう。午後六時。お念仏でも称えたい。キリストも、おしゃかさんも、ごちゃまぜになった。
ちょっと寝てから、また猛然とはね起きた。日が暮れてしまったら、少し心も落ちついて来た。きのう写真屋から送られて来た手札型の写真を見つめる。同じものが三枚送られて来たのだが、その中でも割合、顔の色が黒く、陰影のあるのを選んで履歴書などと一緒に、きのう速達で研究所へ送ってやったのである。どうして僕の顔は、こんなに、らっきょうのように、単純なのだろう。眉間に皺を寄せて、複雑な顔を作ろうと思うのだが、ピリピリッと皺が寄ったかと思うと、すぐに消える。口を、ヘの字形に曲げて、鼻の両側に深い皺を作りたいのだが、どうも、うまく行かない。口が小さすぎるのかも知れない。曲がらないで、とがるのである。口を、どんなに、とがらせたって、陰影のある顔にはならない。馬鹿に見えるだけである。
「お前の顔は、役者に向かない顔である。」と明日の試験で、はっきり宣告されたら、どうしよう。