Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
僕は、その瞬間から、それこそ「生ける屍」になるのだ。生きていても、意味の無い人間になるのだ。ああ、僕に果して、演劇の才能があるのだろうか。すべては明日、決定せられる。また、部屋の整頓を、はじめたくなった。
兄さんがやって来て、
「床屋へ行ったか?」と尋ねる。まだ行っていないのである。
雨の中を、あたふたと床屋へ行く。実際、なってない。床屋で、ドボルジャークの「新世界」を聞く。ラジオ放送である。好きな曲なんだけれど、どうしても、気持にはいって来ない。大きな、櫓太鼓みたいなものを、めった矢鱈に打ちならすような音楽でもあったら、いまの僕のいらいらした気持にぴったり来るのかも知れない。けれども、そんな音楽は、世界中を捜してもないだろう。
床屋から帰って、それから、兄さんにすすめられて科白の練習を少しやってみた。桜の園のロパーヒン。
兄さんに、いろいろ注意された。自分の声をそのまま出して自然に言う事。もっとおなかに力をいれて、ハッキリ言う事。あまり、からだを動かさない事。いちいち顎をひかない事。口辺の筋肉を、もっとやわらかに。これは手痛かった。口を、ヘの字に曲げようと努力しすぎたのだ。