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Japanische Klassiker mit Furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme

Aozora Bunko

逆上していたのだ。どうしてあんなに、浮き浮きと調子づいて、妙な冒険みたいな事ばかりやって来たのか、わからなくなった。ただ、不思議なばかりである。永い、悲しい夢から覚めて、けさは、ただ、眼をぱちくりさせて矢鱈に首をかしげている。僕は、けさから、ただの人間になってしまった。どんな巧妙な加減乗除をしても、この僕の一・〇という存在は流れの中に立っている杭のように動かない。ひどく、しらじらしい。けさの僕は、じっと立っている杭のように厳粛だった。心に、一点の花も無い。どうした事か。学校へ出てみたが、学生が皆、十歳くらいの子供のように見えるのだ。そうして僕は、学生ひとりひとりの父母の事ばかり、しきりに考えていた。いつものように学生たちを軽蔑する気も起らず、また憎む心もなく、不憫な気持が幽かに感ぜられただけで、それも雀の群に対する同情よりも淡いくらいのもので、決して心をゆすぶるような強いものではなかった。ひどい興覚め。絶対孤独。いままでの孤独は、謂わば相対孤独とでもいうようなもので、相手を意識し過ぎて、その反撥のあまりにポーズせざるを得なくなったような孤独だったが、きょうの思いは違うのだ。