Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
はいるさ。それとも他にまた、いい劇団を紹介してくれるかも知れない。とにかく、試験は受けましたという報告だけでもして置いたほうがいい。どうだい?」
「うん。」気が重かった。斎藤氏は、なんだか、こわい。こんどこそ、折檻されそうな気もする。でも、行かなければならぬ。行って、お指図を受けるより他は無いのだ。勇気を出そう。僕は、俳優として、大いに才能のある男ではなかったか。きのう迄の僕とは、ちがうのだ。自信を以て邁進しよう。一日の労苦は、一日にて足れり。きょうは、なんだか、そんな気持だ。
晩ごはんの後、僕は部屋にとじこもって、きょう一日のながい日記を附ける。きょう一日で、僕は、めっきり大人になった。発展! という言葉が胸に犇々と迫って来る。一個の人間というものは、非常に尊いものだ! ということも切実に感ずる。
五月十日。水曜日。
晴れ。けさ眼が覚めて、何もかも、まるでもう、変ってしまっているのに気がついた。きのう迄の興奮が、すっかり覚めているのだ。けさは、ただ、いかめしい気持、いや、しらじらしい気持といったほうが近いかも知れぬ。きのう迄の僕は、たしかに発狂していたのだ。