Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
僕はいま、とても落ちついている。すがすがしいくらいだ。心に、なんの不安も無い。全力をつくしたのだ。あとは、天の父におまかせをする。爽やかな微笑が湧く。本当に、きょうは、素直に力を出し切る事が出来た。幸福とは、こんな思いを言うのかも知れない。及第落第は、少しも気にならない。
きょうは春秋座の演技道場で、第一次の考査を受けたのである。けさは、七時半に起きた。六時頃から目が覚めていたのだが、何か心の準備に於て手落ちが無いか、寝床の中で深く静かに考えていた。手落ちといえば全部、手落ちだらけであったが、それだからとて狼狽することもなかった。とにかく、ごまかさなければいいのだ。正直に進んだら、何事もすべて単純に解決して、どこにも困難がない筈だ。ごまかそうとするから、いろいろと、むずかしくなって来るのだ。ごまかさない事。あとは、おまかせするのだ。心にそれ一つの準備さえ出来ていたら、他には何も要らないのだと思った。詩を一つ作ろうと思ったが、うまく行かなかった。起きて、顔を洗い、鏡を見た。平然たる顔である。ゆうべ、ぐっすり眠ったせいか、眼が綺麗にすんでいる。笑って鏡に一礼した。