Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
僕は自己紹介から書きはじめて、春秋座の「雁」を見て感じた事を率直に書いた。きっちり二枚になった。他の人は、書いたり消したり、だいぶ苦心の態である。これでも、履歴書や写真に依って、多くの志望者の中から選び出された少数者なのだ。ずいぶん心細い選手たちである。けれども、こんな白痴みたいな人たちこそ、案外、演技のほうで天才的な才能を発揮するのかも知れない。あり得る事だ。油断してはならない、などと考えていたら、番頭さんがひょいとドアから顔を出して、
「お書きになりました方は、その答案をお持ちになって、どうぞこちらへ。」また御案内だ。
書き上げたのは僕ひとりだ。僕は立って廊下へ出た。別棟の広い部屋に通された。なかなか立派な部屋だ。大きい食卓が、二つ置かれてある。床の間寄りの食卓をかこんで試験官が六人、二メートルくらいはなれて受験者の食卓。受験者は、僕ひとり。僕たちの先に呼ばれた五人の受験者たちは、もう皆すんで退出したのか、誰もいない。僕は立って礼をして、それから食卓に向ってきちんと坐った。いる、いる。市川菊之助、瀬川国十郎、沢村嘉右衛門、坂東市松、坂田門之助、染川文七、最高幹部が、一様に、にこにこ笑ってこっちを見ている。