Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

百十一

気でも狂いそうな調子で書いてよこした。その時ほど、岸本は自分故に苦しんで行く姪のすがたをまざまざと見せつけられたことは無かった。

百十一

言いあらわし難い恐怖と哀憐とは、節子の手紙を引裂いて焼捨ててしまった後まで岸本の胸に残った。ずっと以前に岸本が信濃の山の上に田舎教師をしながら籠り暮した頃、城址の方にある学校へ行こうとして浅い谷間を通過ぎたことがある。ある神社の裏手にあたるその浅い谷間の水の流のところで、一羽の小鳥を見つけたことがある。飛去りもせずにいる小鳥を捉えるつもりもなく捉えようとして、谷川の石の間を追廻すうちに、何時の間にか彼の手にした洋傘は小鳥の翼を打ったことがある。何かに追われたか、病んでいるか、いずれ訳があって飛去りもしない小鳥を傷つけたと気がついた時はもう遅かった。血にまみれながら是方を見た時の眼は小鳥ながらに恐ろしく、その小さな犠牲を打殺すまでは安心しなかったことがある。そして半町ばかりも歩いて城址に近い鉄道の踏切のところへ出た頃に、手にした洋傘の柄の折れていたのに気がついたことがある。丁度あの小鳥の眼が、想像で描いて見る節子の眼だ。