Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

八十三

八十三

二人籠っている楽しい一日もやがて底悲しく暮れて行った。一月ほど前に岸本から送った男の児の人形を大切にして僅かに母らしい悲哀を寄せている節子、その人形に黒い着物を着せ黒い頭巾まで冠せ自分の児でも連れ歩くように風呂敷包の中に潜ませて岸本の許へ持って来て見せる程の節子、話そう話そうとして今までその話をする機会も思うように見出せなかったと言いたげな節子、その節子は母としての彼女の心を岸本に汲取って貰うことを何より嬉しく思うという風であったが、二人の間に生れた子供の話が出れば出るほど岸本はきびしい現実の感じを誘われた。節子はその話につけて、片田舎に産後の身を養っていた間よく例の女医に誘われて自分の子供の貰われて行った家へ遊びに出掛けたことを話した。その家の人達はしきりに彼女の素性を知りたがって、いろいろに手を分けて詮索したことや、名前を明すことが出来なければ東京のどの辺か、せめて方角だけでも教えよと言われたが、それだけはお断りすると言って到頭女医の方で明さなかったことなぞを話した。

「そりゃ可愛がっているんですよ――あの児の眼の悪かった時なぞは、そこの阿爺さんが毎日のように背負ってお医者の家へ通っていましたっけ」