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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

(よし、俺だけは、天下をアッといわすような大仕事をして、いちどに、義賊の名を轟かしてやる)

と、こう、短気になった雲霧が、その仕事を深川の御船蔵につないである将軍家の安宅丸に眼をつけて、入ったのが、失敗だった。

安宅丸は、盗ッ人仲間の誘惑だった。手近な宝の山みたいな存在だが、そこへ忍び込んだ盗賊で、首尾よく、仕事をして、帰った者は一人もない。

不馴れな水の上だ。それと、予想外な内部のきびしさに、手もなく雲霧も、警固の網に引ッかかってしまったのである。そして、二十日余りを、この仮牢に抛り込まれたまま、伝馬送りと、獄門の日を待つ身になった。

吟味の時には、

(俺は義賊の雲霧だ)

と、胸を張って、名乗ったものである。

また、ここ三、四年の兇状も、つつまず自白し、五人組の首領だと、たんかを切った。

少しも、隠さないし、事実、今日まで盗んだ金は、貧民窟へばら撒いていたらしいので、役人達も世話の焼けない、さっぱりした盗賊だと思った。――また下級の、貧しい小者や牢番たちの間には、義賊というのでうけがいいし、殊に、牢番の卯平などは、

(この泥棒は、悪いんじゃないのだ)