Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
その四十
あの四方に使して君命を辱めずということがございましたね。あれを一つお講じ下さいますまいか。」
「先ず何よりもおよろこびを言わんではなるまい。さて講釈の事だが、これはまた至極のお思附だ。委細承知しました」と抽斎は快く諾した。
その四十
抽斎は有合せの道春点の『論語』を取り出させて、巻七を開いた。そして「子貢問曰、何如斯可謂之土矣」という所から講じ始めた。固より朱註をば顧みない。都て古義に従って縦説横説した。抽斎は師迷庵の校刻した六朝本の如きは、何時でも毎葉毎行の文字の配置に至るまで、空に憑って思い浮べることが出来たのである。
貞固は謹んで聴いていた。そして抽斎が「子曰、噫斗之人、何足算也」に説き到ったとき、貞固の目はかがやいた。
講じ畢った後、貞固は暫く瞑目沈思していたが、徐に起って仏壇の前に往って、祖先の位牌の前にぬかずいた。そしてはっきりした声でいった。「わたくしは今日から一命を賭して職務のために尽します。」貞固の目には涙が湛えられていた。
抽斎はこの日に比良野の家から帰って、五百に「比良野は実に立派な侍だ」といったそうである。その声は震を帯びていたと、後に五百が話した。