Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
その八十二
常の旅には此に来ると祝う習であったが、五百らはわざと旅店を避けて鰻屋に宿を求めた。
その八十二
山形から弘前に往く順路は、小坂峠を踰えて仙台に入るのである。五百らの一行は仙台を避けて、板谷峠を踰えて米沢に入ることになった。しかしこの道筋も安全ではなかった。上山まで往くと、形勢が甚だ不穏なので、数日間淹留した。
五百らは路用の金が竭きた。江戸を発する時、多く金を携えて行くのは危険だといって、金銭を長持五十荷余りの底に布かせて舟廻しにしたからである。五百らは上山で、ようよう陸を運んで来た些の荷物の過半を売った。これは金を得ようとしたばかりではない。間道を進むことに決したので、嵩高になる荷は持っていられぬからである。荷を売った銭は固より路用の不足を補う額には上らなかった。幸に弘前藩の会計方に落ち合って、五百らは少しの金を借ることが出来た。
上山を発してからは人烟稀なる山谷の間を過ぎた。縄梯子に縋って断崖を上下したこともある。夜の宿は旅人に餅を売って茶を供する休息所の類が多かった。宿で物を盗まれることも数度に及んだ。
院内峠を踰えて秋田領に入った時、五百らは少しく心を安んずることを得た。