Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
その二十八
その二十八
枳園は俳優に伍して登場した罪によって、阿部家の禄を失って、永の暇になった。後に抽斎の四人目の妻となるべき山内氏五百の姉は、阿部家の奥に仕えて、名を金吾と呼ばれ、枳園をも識っていたが、事件の起る三、四年前に暇を取ったので、当時の阿部家における細かい事情を知らなかった。
永の暇になるまでには、相応に評議もあったことであろう。友人の中には、枳園を救おうとした人もあったことであろう。しかし枳園は平生細節に拘らぬ人なので、諸方面に対して、世にいう不義理が重なっていた。中にも一、二件の筆紙に上すべからざるものもある。救おうとした人も、これらの障礙のために、その志を遂げることが出来なかったらしい。
枳園は江戸で暫く浪人生活をしていたが、とうとう負債のために、家族を引き連れて夜逃をした。恐らくはこの最後の策に出づることをば、抽斎にも打明けなかっただろう。それは面目がなかったからである。矩の道を紳に書していた抽斎をさえ、度々忍びがたき目に逢わせていたからである。
枳園は相模国をさして逃げた。これは当時三十一歳であった枳園には、もう幾人かの門人があって、その中に相模の人がいたのをたよって逃げたのである。