Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
その三十三
五百なぞも屋敷住いをして、役人に物を献じ、傍輩に饗応し、衣服調度を調え、下女を使って暮すには、父忠兵衛は年に四百両を費したそうである。給料は三十両貰っても九両貰っても、格別の利害を感ぜなかったはずである。
五百は藤堂家で信任せられた。勤仕いまだ一年に満たぬのに、天保二年の元日には中臈頭に進められた。中臈頭はただ一人しか置かれぬ役で、通例二十四、五歳の女が勤める。それを五百は十六歳で勤めることになった。
その三十三
五百は藤堂家に十年間奉公した。そして天保十年に二十四歳で、父忠兵衛の病気のために暇を取った。後に夫となるべき抽斎は五百が本丸にいた間、尾島氏定を妻とし、藤堂家にいた間、比良野氏威能、岡西氏徳を相踵いで妻としていたのである。
五百の藤堂家を辞した年は、父忠兵衛の歿した年である。しかし奉公を罷めた頃は、忠兵衛はまだ女を呼び寄せるほどの病気をしてはいなかった。暇を取ったのは、忠兵衛が女を旅に出すことを好まなかったためである。この年に藤堂高猷夫妻は伊勢参宮をすることになっていて、五百は供の中に加えられていた。忠兵衛は高猷の江戸を立つに先って、五百を家に還らしめたのである。