Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
その五十四
決して衣食の価は申し受けない。そうすれば渋江一家は寡婦孤児として受くべき侮を防ぎ、無用の費を節し、安んじて子女の成長するのを待つことが出来ようといったのである。
その五十四
比良野貞固は抽斎の遺族を自邸に迎えようとして、五百に説いた。しかしそれは五百を識らぬのであった。五百は人の廡下に倚ることを甘んずる女ではなかった。渋江一家の生計は縮小しなくてはならぬこと勿論である。夫の存命していた時のように、多くの奴婢を使い、食客を居くことは出来ない。しかし譜代の若党や老婦にして放ち遣るに忍びざるものもある。寄食者の中には去らしめようにも往いて投ずべき家のないものもある。長尾氏の遺族の如きも、もし独立せしめようとしたら、定めて心細く思うことであろう。五百は己が人に倚らんよりは、人をして己に倚らしめなくてはならなかった。そして内に恃む所があって、敢て自らこの衝に当ろうとした。貞固の勧誘の功を奏せなかった所以である。
森枳園はこの年十二月五日に徳川家茂に謁した。寿蔵碑には「安政五年戊午十二月五日、初謁見将軍徳川家定公」と書してあるが、この年月日は家定が薨じてから四月の後である。