Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
六
造顔術師月子のために磨きを掛けられた彼の顔は、世にも美しいものであった。しかしそれだけその顔は世にも不気味のものでもあった。人工的の「美」なるものが、いかに美しいかということと、いかに醜いかということが、その顔を見ればうなずかれる。
彼は昏々と眠りに入った。
六
光明優婆塞は立ち縮んでいた。
自分の力のいかに弱いかを、彼は如実に経験した。こういう悪人に対しては、全く無力と云わざるを得ない。彼の顔は悲しそうであった。打ち拉がれた犬のように、彼の躰は顫えていた。
時あって提婆は釈迦よりも偉大に見えることがある。時あってユダはキリストよりも偉大に見えることがある。
今がそういう時であった。
眠っている陶器師がどんなに大きく、そうして顫えている光明優婆塞が、どんなに小さく見えることだろう。
やがて優婆塞は歩き出した。
首を垂れ、腕を組み、裾野の草を分けながら、彼はどこともなく歩いて行った。
「不足だ」
と彼は呟いた。
「俺の思想に間違いはない。俺の考えは崩れはしない。しかし力は不足している。思想が直に力と成って、いかなる者をも折伏する、そこまで行かなければ本当とは云えない」