Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
二
……お互い浪人して久しいものだ」
「だがあの頃は窮屈だった。……懐しいとは思わない。……今の身分が一番いい。……お前はどうだな思い出すかな?」
薪兵衛の口調は揶揄的であった。
「俺か」と陶器師は物憂そうに、「思い出すまいとしているのさ」
二
「アッハハハそうだろうて」薪兵衛は益々揶揄的になった。
「ある人にとっては思い出は、ひどく楽しいということだ。お前にはそうでもないらしいな。だがこれはどうしたことだ。北条家の北条内記といえば、立派な家柄の武士ではないか。侍大将の筆頭で、しかも主君とは縁辺だ。非常な勇士で武道の達人、殿のお覚えめでたかった筈だ。いいことずくめのお前だった筈だ。昔思えば懐しい。こういかなければならない筈だ。それだのに思い出は苦しいという。解せぬぞ解せぬぞ少し解せねえ。アッハハハ解せねえなあ。……とは云えつらつら考えてみるに、無理もねえ節があるかもしれねえ。おおあるある一つある。こいつを思うと辛かろうよ。浪人をした原因だからな。武道の恥ならまだいいが、密夫されたとあってみれば、これ以上の恥はねえからなあ。が、そいつも仕方がねえ。そうだそいつも仕方がねえ。