Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
六
それは直江蔵人であった。
「や、こいつは切られている」
もう一人の老人がこう云った。それは塚原卜伝であった。薬箱を担いでいた。
「いかにもな、切られている」
蔵人は立ち止って眼をひそめた。
卜伝は薬箱を担いだまま、死骸の側へ膝を突いた。
「これはこれは、驚いたなあ」
卜伝はひどく感心した。「素晴らしい手利きが切ったと見える」
六
「そんなに立派な切り口なのか?」
蔵人は立ったまま声を掛けた。
「さよう、とても素晴らしいものだ」卜伝は何やら考え込んだ。
「はて、何者の所業かな?」
蔵人は焚火へ手をかざした。
「まあさ卜伝、一あたりおあたり」
「うん」と卜伝は云ったまま、尚も思案に耽っていた。「人間放れがしている」
「さてその人間放れだが、火柱の主に逢いたいものだ」蔵人は独言を云い出した。「百人の患者を調べるより、大本の一人を調べた方が、ずっと効能があるのだからな。……卜伝、あたったりあたったり、素敵な焚火だ。暖い暖い」
卜伝は返辞をしなかった。
「いや、どうも俺も驚いた」蔵人は独言を云い出した。「ひどい有様だとは聞いていたが、こうまでひどいとは思わなかった。これじゃあ全然癩地獄だ。