Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
三
すると甚太郎はクスクスと笑い、
「もしお許しさえ出ましたなら、楯無しを盗んでお目にかけます」
「楯無しを盗む? これは面白い。よし許す、盗んで見ろ」
「かしこまってござります」
三
で、甚太郎はご前を辷りそのまま姿を消してしまった。
「甚太郎めに何が出来る」信玄は侍臣を顧りみてニヤニヤ苦笑を洩らしたが、間もなく彼の心からはそんな約束をしたことも甚太郎のことも忘れられてしまった。
ところが武田家の家例として楯無しの鎧はその夜の中に――しかも深夜丑の刻に信玄親しく附き添って宝蔵へ納めなければならなかった。
で、規定の時刻が来るとやおら信玄は立ち上がった。楯無しの鎧は箱に入れられ大切に輿に乗せられた。四人の武士が担うのである。それも甲斐撫での武士ではない。日向大和、勝沼入道、今川伊勢、辺見左京、一騎当千というよりもいずれも堂々たる武将連である。その後から信玄が行き、またその後から信繁、義信、勝頼、逍遥軒の一族が行く。先駆としては馬場美濃守、輿の左右には小山田、甘利。まことに業々しい行列ではあるが、これが長々と廻廊を練り、宝物蔵まで行くのであった。一の曲輪と二の曲輪のその中間に宝蔵があったがそこまで行くと行列は粛々として立ち止まった。