Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
四
竈の方へ帰って行く。血刀を下げ、足もと定まらず、ヒョロヒョロヒョロと歩いて行く。蒼白の顔色、動かぬ瞳、唇ばかりが益々赤く、幽霊のような姿である。
竈の前へ膝を突くとそのままぐったりと横になった。大小を左の小脇に抱え、堅く眼をとじて動こうともしない。眠ろうとしているのであろう。
と、浮かんで来る懺悔の表情。時々眼をあけて空を睨むのは容易に眠られないためでもあろう。
やがて宵闇が忍び寄って来た。星がキラキラと空で輝き、藪や曠野や林の中から鵜烏の啼く声が聞こえて来た。竈の口では青い火が鬼火のように燃えている。
四
この頃、土屋庄三郎は裾野を分けて歩いていた。
彼が甲府を抜け出して、再び裾野へやって来たのには、次のような事情があるのであった。
それは虫払いの夜であった。
紅巾を見ると快川長老は、
「これは纐纈だ」とこう云った。
「私は若い頃支那へ行った。さよう、三度も参ったかな。その頃あの地で纐纈を見た。この紅巾に違いない。……いや、待てよ、少し違う」
こう云って長老は改めて打ち返し打ち返し眺めたが、
「色も艶も酷似だ。しかしどうも織り方が違う」
「は? 織り方とおっしゃいますと」