Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
三
「はてな」
と卜伝はそれを聞くと、手に持っていた書を伏せた。
そうして童子を走らせて、その五臓丸を買って来させた。
そこで茶椀へ水を充たせ、そこへ丸薬を投げ込んだ。すると丸薬は動物のように、茶椀の内側を廻わり出したが、忽ちポンと躍り上がり、高い天井の板を打った。
「おおこれは本物だ」
こう卜伝は呻いたが、スックとばかり立ち上がると、太刀を提げて走り出た。
それとも知らぬ薬売りは城下の方へ歩いて行った。
「待て!」と一声呼び止めておいて一刀の下に斬り斃し、十粒の五臓丸を奪い取った。
これには立派な理由がある。
まだ壮年の頃であったが、飛騨山中で道に迷い、彼は危く餓死しようとした。その時折よく通り合わせたのは、老いたる一人の猟師であったが、彼を猪小屋へ担ぎ込むと、火打ち袋から丸薬を取り出し、まず水の中へ抛り込んだ。と丸薬は生物のように水の面を泳ぎ出したが、やがて茶色の水に溶けた。
それを飲んだ卜伝は一時に神身爽快を覚えた。
「神妙な霊薬! 何んと云う薬か?」
卜伝は感心して訊いて見た。
「贋の五臓丸でございます」
「ふうん。何から製したものか?」
「猿の五臓から拵えたもので」